看護からみた多職種連携を考える

スペシャリストナースに役立つ

こんばんは、コンサルタントナースの西です。

今回の記事では、認定看護師、専門看護師としてのコンサルタントナースの経験から
多職種連携に役立つヒント
伝えさせていただきます。

多職種チームでやってるんだけど、人数は集まっているけど、
それぞればらばらな感じ・・・どうしたらいいかな・・・

多職種連携がいかない原因から、対策をできる対策を、私の体験から述べさせていただきます。

多職種連携上手くいかない原因

多職種と他職種の違いは、よくご存じだと思います。
自分の職種以外の意味で使う時は他職種、多くの職種の意味で使う時は多職種ですね。

医療チームにはさまざまな多職種により成り立っていますので、
既に何らかもチームで活躍されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、集まっているだけで、上手くいっていないと感じることもあるかと思います。

原因としては、多職種の職種特殊性を知らない、チーム運営の問題、情報伝達の問題
がよくあります。

多職種連携が上手くいかない原因
・多職種の特殊性を知らない
・チーム運営の問題
・情報伝達の問題

多職種の特殊性を知らない

多職種の特殊性をどのくらい知っていますか?
例えば、職種が認定された時期、それぞれの職種ができること・できないこと、
専門分野別の特徴などです。

それぞれの職種の設立例

  • 1942年 歯科医師・医師
  • 1948年 歯科衛生士・看護師
  • 1951年 診療X線技師 (改正 1995年→診療放射線技師)
  • 1958年 衛生検査技師 (改正 1970年→臨床検査技師)
  • 1965年 理学療法士・作業療法士
  • 1971年 栄養士
  • 1987年 社会福祉士・臨床工学技師・介護福祉士
  • 1997年 ケアーマネジャー・言語聴覚士

医師や看護師は歴史が古いですね。しかし、言語聴覚士などは比較的歴史が新しいことが
わかりますね。
なぜ設立の歴史を知っておいた方がいいかというと、
歴史がわかると、それぞれの職種がどのように発展してきたか
理解しやすくなるからです。

また、それぞれの職種がそれぞれの分野でどのような役割を担っているかを
知っておくといいでしょう。
私の専門である、摂食嚥下分野を例にお示しします。

摂食嚥下分野における多職種の役割

摂食嚥下分野には、医師(リハビリテーション医、神経内科、脳外科、耳鼻咽喉科など)、
歯科医師(口腔外科医、障害者歯科など)、看護師(施設看護師、訪問看護師、保健師)、
管理栄養士、薬剤師、介護職、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、
事務職、ケアマネジャーなど多くの職種がかかわってきます。

摂食嚥下の分野で、各職種がどのような役割を担っているか、
ご存じでしょうか?

   摂食嚥下分野の各職種の役割例
★医師⇒食事や訓練指示、全身管理など
★言語聴覚士⇒嚥下訓練、言語訓練、高次脳機能障害の評価など
★歯科医師・歯科衛生士⇒歯、義歯の治療や調整、口蓋床の作成など
★管理栄養士⇒栄養状態の評価、嚥下食の提供など
★薬剤師⇒薬剤調整のアドバイスなど
★理学療法士⇒身体機能維持向上への訓練など
★作業療法士⇒生活動作の訓練など
★介護職⇒日々の食事介助など

分野によってかかわる職種は違います。
しかし、自分のかかわる患者さんが必要としている多職種がどのような役割を
果たしているか知っておくことは連携していくうえでとても大切になります。

チーム運営の問題

多職種が集まり、ともに連携していくときに、多くの場合チームとなって
患者さんやご家族の関わっていくことが多いのではないでしょうか。

患者さんによい変化があったときなど、チームとして共に喜べます。
そのため、多職種チームで介入できるときに、私はとても喜びをかんじます。
しかし、どのチームでも上手くいっているわけでなないですよね。

チーム運営の問題はいくつかあります。
当然、各職種メンバーが集まる時間がとれない、多職種がまわりにいないなどあるのではないでしょうか。

そのなかでも、私が運営上、おしいな・・・と思うことが一つあります。

それは、問題を抱えやすいチームは、
多職種で集まっているのに、一つの職種だけ、それも一人だけが発言している状態があることです。

例えば、嚥下チームで、認定看護師、言語聴覚士、管理栄養士が集まっているのに、
事例検討をはじめると、医師が一人でアセスメントし、指示をだしているような場面です。
また、誰も、一人の医師の発言に意見をだしたり、ちょっとした反論ができないような雰囲気だったりします。
このようなチームでは、せっかくの多職種のメリットが活かされないです。

チーム運営で大切なことは、チームの専門性における一人一人の職種の役割を熟知している、
メンバーがファシリテートすることだと思います。
つまり、一つの課題に対して、いくつかの職種から意見を引き出す力のあるメンバーが、
司会などを行うことです。

多職種チームで働きをするとき、それぞれの職種が、チームのなかで、
すごく役に立っている!と思ってもらえる運営を心がけたいですね。

情報伝達の問題

情報伝達の問題は、必要な情報が伝達されていない、情報をもらってどうだったか結果を
伝達していないことだと思います。

ケア等療養に必要な情報を伝達する必要があります。
必要な情報を伝達するには、各職種のことをよく理解しておかないといけないですよね。
そうでないと、必要な情報を伝達していくことは難しくなります。
必要な情報が伝達されていなければ、ケア等の継続は困難になります。

例えば、摂食嚥下の分野ですと、急性期病院で、嚥下造影検査など行い、言語聴覚士の訓練も入り、
適切なとろみの濃度で水分を提供しています。
しかし、次の療養の場へのサマリーなどで、「とろみが必要です」とだけ記載し、
具体的な濃度に関して伝達していない時は、次の療養の場で再度適切なとろみの濃度を決めないといけない
ことになります。在宅分野などでは、言語聴覚士の訓練を受けたり、
嚥下造影検査などの実施は困難なことが多いですね。
そのため、検査結果や経過がいかされずに、
適したとろみ濃度で提供できなくなったりします。

療養の場が変われば、環境等も変わるので、再評価は必要です。
しかし、すでに調整されているなら、
継続可能かどうかを判断すればいいだけなので、
スタッフや患者さんの負担も軽減します。

ところで、届いた情報はその後どうしていますか?

「どうするって、情報を活かしてケアの継続をするんでしょう・・・」
だけ・・・でしょうか。

情報を提供した側は、ケアを継続してもらいたい、
次の療養の場で活かしてもらいたいという気持ちを込めています。
そのため、伝達した情報でその後どうであったかとても知りたいんです。

情報が届いたら、その後の結果がどうであったか、フィードバックすることをおすすめします。
提供した情報が、次の療養の場でも役立つということを、情報を提供した側がすごく実体験できます。

一方通行での情報提供ではなく、双方向の錠提供をめざしましょう。
情報提供側にとっても、さらに役立つ情報提供をすることを心がけることにも繋がります。

相手の職種にわかるように必要な情報を伝達する、もらった情報はフィードバックする
これらのことが
大切です。

まとめ

今回の記事では、看護における多職種連携を、コンサルタントナースの経験から
書かせていただきました。

多職種連携が上手くいかない原因として、多職種の特殊性を知らない、チーム運営の問題、
情報伝達の問題があります。これらの問題をアセスメントして、よりスムーズに多職種で連携していきましょう。

お互いの立場を理解して連携すると、無理、無茶、無駄を省けますし、
何より患者さんによりよいケアを提供することができます。

 

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