患者さんに寄り添うとは、患者さんの機嫌のよいときにケアすること?

看護師への教育

この記事では、患者さんに寄り添う看護の一つについて
私の経験からご紹介します。

患者さんのケアへの協力が得られない時に、こんなことを聞いたことはないでしょうか?
「患者さんの口腔ケアがなかなかできないんです。でも、機嫌のいい時はさせてもらえます
だから、機嫌をみて機嫌のいい時にするようにしています。」

これに対して「え?機嫌がいいって?」
そんな風に感じたことはありませんでしょうか。

この気づきはとても大切だと感じました。
なぜなら、このことを言っているスタッフは、
患者さんに寄り添う看護のドアを開けようとして、
他のドアを開けている可能性があるからです。

この会話を聞いたときは、タイミングを逃さず、看護のドアから看れるように、
支援すると、
患者さんへ寄り添う看護実践が劇的に成長することを経験しました。

共感しようとしているときの表現の一つ「機嫌のいいときに」

看護のなかで、寄り添う看護実践は大切なものとされています。
しかし、寄り添う看護実践とは、実は抽象度の高い言葉のため、一人ひとりの受け止め方は
さまざまではないでしょうか。
ケアの本質をし示したり、その過程を示したりすることがありますね。

寄り添うとは、「そばに行く、近寄る」、「傾聴する」、「共感する」などの意味を含んだ言葉です。
そのなかでも、共感とは、他人の意見や感情などにそのとおりだと感じることとされています。

では、今回の看護師の「口腔ケアは、機嫌のいいときはさせてもらえます」とはどのような意味を
含んでいるのでしょか。
この場合看護師は、口腔ケアが必要なことがわかっており、口腔ケアができているので技術も持っています。

機嫌がいいときにと表現する時
・口腔ケアの必要性はわかっている
・口腔ケアの技術も持っている    ⇒  患者さんに共感しようとして、機嫌がいいときにと表現
患者さんのアセスメントは不十分

そして、一生懸命、共感しようとしていることがわかります。
しかし、共感しようとするがあまり、患者さんの言動だけを拾ってしまい、
患者さんに生じている、特に身体的変化のアセスメントが不足しがちになっていると考えられます。
寄り添う看護へのシフトには、看護のドアを見つけてそこから看る必要がありました。

視点を変えてすでに横にあった、看護のドアに気づいてもらいたい

では、看護のドアを見つけるとはどのようなことでしょうか。
それは、少し横をみて、すでにあったドアに気づく感じでしたよ。

「あ、そうかも・・・」と思える手助けがこの時は必要になりました。
簡単に表現すれば、アセスメントをできるようにするということなのですが、この際の提案はとても大切です。
なぜなら、必ず看護のドアに気づいてほしいからです。
横にあったドアに「あ!こっち!」とはっきりわかって看護のドアを開けて入って看てほしいからです。

看護のドアから入る、アセスメントに繋げる提案

ここでの提案は、ここをみたら必ずわかるというものが必要になります。
プラス、必ず患者さんの変化が体験できるものであってほしいと思います。

「機嫌がいいと感じたときの、薬剤との時間関係はどうでしたか?」
「機嫌がいいと感じたときの、腹部状態はどうでしたか?」

そして、
「機嫌がいいと思ったときの体の状態はどうでしたか?」

これらを質問して、看護師自ら「右側臥位にしたときかもしれません」など、何かを見つけられたら、
看護のドアをみつけたことになります。
ただ、見つけられなくてもがっかりしないようにしたいですね。
まだ、その分野の看護のドアがあることを知らないだけのことが多かったからです。

看護師自ら答えられない場合は、ここ!と思うことを観察することを提案してみてください。
この場合は、実際観察できるための知識・技術が時に必要になりました。
実践できるレベルまで、観察の仕方をわかりやすく伝えていきました。

看護のドアを一緒に開けてあげて、後ろから軽く押してあげるイメージで。

看護のドアから一度入って、患者さんの変化を言語化できる体験をすると、
ぐっと患者に寄り添う看護師へと成長します。

まとめ

この記事では、患者さんに寄り添うための看護のドアについて私の経験からご紹介しました。

看護師が「患者さんの機嫌がよいときに」と言ったときは、患者さんに寄り添う看護のドアがまだ、
開けて看れていない状態と考えます。
タイミングを逃さず、看護のドアから入って看れるように、
ちょっとした支援を行うといいですよ。そこから、
患者さんへ寄り添う看護が展開されていきます。
患者さんの変化の体験は、成長への近道ですね。

 

 

 

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